Vol.22(15年5月)

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第22回は『緋縞』(ひじま)
日本画の作品です。

つばきを描いてみました。
「紅乙女(こうおとめ)」、「侘助(わびすけ)」、
「卜伴(ぼくはん)」、「加茂本阿弥(かもほんなみ)」、
「越の吹雪」、「獅子頭(ししがしら)」など
名前を見ただけでもつばきは古くから、
多くの人たちに愛された花だとわかります。

つばきはサザンカとともにカメリア(Camellia)属の常縁樹とのこと。
花が少ない季節につややかな濃縁の葉に囲まれて、
ひっそりと咲く花や力強く咲く花。
多くの品種が音を感じるような花の散り方にも魅かれます。

作品のつばきは、多分「岩根絞り(いわねしぼり)」だと思います。
花が散らないようにと祈りながら、急ぎ写生しました。
そしてできた作品の花には、
『緋縞海石榴(ひじまつばき)』と勝手に命名しました。

 

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Vol.21(15年4月)

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第21回は『凛』(りん)
日本画の作品です。

薔薇は私の絵心を誘います。
結果、多く描いています。
この花の魅力は、品種の多さでしょうか。
長い歴史、人々の手を経て美しさと香りを競う
多くの品種が生まれ、私たちを楽しませてくれます。

「一輪」の薔薇を美藍の色をバックに描き、
作品名を『凛』としました。
薔薇を愛でるのは「一輪」が良いと、勝手に思っています。
そして、その一輪の薔薇の絵の題名は『凛』が似合うと
これも勝手な思いです。

多くの品種から好きな薔薇を見つけたいと思い、
『凛』を追求しつづけます。

 

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Vol.20(15年3月)

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第20回は『如来』(にょらい)
日本画の作品です。

「無彰庵だより」で5点、「寺院」を描いた作品を紹介してきました。
今度は堂内に鎮座した「仏像」です。
静止したテーマなのですが、動きのある「人物画」や「動物画」とは
違った難しさがあります。

「絵」は原始の洞窟壁画の時代から信仰の対象でした。
そして東西文化の絵画史は「宗教画」の歴史でもあります。
立体に作られた「宗教像」は、より具現化された信仰対象です。

「仏像」は、絵のテーマにはなりにくいかもしれません。
当然「仏画(宗教画)」にはなりません。
しかし「仏像」を描いてみたいという、
景色や動植物を描くのとは違った気持ちが芽生え
挑戦してみました。

宗教について語る知識はまったくありません。
が、宗教建造物や関連したテーマは、
今後も創造意欲をわかせてくれるような気がします。

 

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Vol.19(15年2月)

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第19回は『星華』(ほしばな)
水彩画の作品です。

ブライトローズにバイオレットが混ざったような色の花びらを
たくさんつけた「デンドロビウム」の
リップの淡いクリーム色が星のように見えます。

絵の題材として「花」は、本当に魅了されます。
鮮やかな美しさ、つつましい美しさ、
芳しい香り、細やかな香り・・・

花に声がない代わりに、「花言葉」があるのでしょうか。
長い時間、咲いている花。
短時間に散るはかない花。
その美しさを残したくて、
描くときは時間との勝負です。

幸い「デンドロビウム」は
描く時間の余裕を与えてくれます。

声のない花と会話をしながら、
作品づくりを楽しみたいと思います。

 

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Vol.18(15年1月)

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第18回は『靜淸』(せいせい)
日本画の作品です。

平成27年 乙未(きのとひつじ)の年の初めは
『靜淸』という題名の作品にしました。
ちなみに広辞苑で「せいせい」を引くと、
「井井」から「斉整」まで24点ありますが、
「静清」ということばはありません。
題名の意味は「しずかできよらかなさま」
今年が「しずかできよらかなとし」を願いました。

描かれている御堂は、
『小田原山 浄瑠璃寺 九体阿弥陀堂
「無彰庵だより」では3回目の登場です。

本堂の九体の阿弥陀如来坐像には、
一体一体に板扉が配されています。
彼岸会法要の時に板扉が開けられ、
夕闇の中、宝池の水面に九体の金色の仏像が映るそうです。

この寺の伽藍が出来上がった平安時代
池は九体阿弥陀堂のぎりぎりまで迫り、
さらに御堂を回り込むように構成されていたようです。
池に映る極楽浄土を演出していたのでしょう。

残念ながら彼岸会法要は非公開なので、
作品の情景を実際に見ることはできませんでしたが、
足繁く通って写生した御堂の姿から想像して、
法会の雰囲気を絵にしました。

 

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Vol.17(14年12月)

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第17回は『初冬』(しょとう)
日本画の作品です。

長崎県佐世保港の外側から北へ25kmにわたり
島々が点在する海域が「九十九島」です。
「外洋性多島海景観」を特色とする「西海国立公園」の
一部であり、島の密度は日本一だそうです。

初冬の夕暮れ、西の海の景色は
いろいろな思いを遠くへ運ぶような気持にさせてくれます。
さらにいろいろなカタチの島々が無数にあれば、
いつまでも見飽きません。

極東の島国、日本の人々にとって、
西の海は昔から、信仰や文明への憧れだったのでしょう。
海外への玄関口だった長崎の島々、
その見飽きない景色も暮れてゆきます。

 

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Vol.16(14年11月)

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第16回は『紅葉』(もみじ)
日本画の作品です。

古より歌に詠まれている「竜田川」は、「紅葉」の名所です。

ちはやぶる 神代もきかず 龍田川 からくれなゐに 水くくるとは
在原業平古今和歌集

嵐吹く 三室の山の もみぢ葉は 竜田の川の 錦なりけり
能因法師(後拾遺和歌集

この二首は、
川一面に映る「紅葉」
川一面を覆い尽くし流れる「紅葉」
「錦」にたとえられる「紅葉」を思い描かせます。

赤ちゃんの手のひらにもたとえる「もみじ」は
カエデ科カエデ属
しげしげとながめると、5裂または7裂で美しいかたちをしています。
さらに魅力は黄、橙、赤、深紅と暖色系の多彩な色でしょう。
春の新緑、夏の深緑も良いのですが、秋が深まり
梢から離れる前に燃え上がる色彩は格別です。

「紅葉」を描きたいと思い、竜田川を訪ねました。
あいにく台風の影響を受けた天候で、川の流れは激しく
肝心の「もみじ」は、色づくには少し早かったようです。
「紅葉」と静かな流れに思いを馳せ
今回の作品にしました。

 

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