Vol.5(13年12月)

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第5回は『冠雪(かんせつ)』
日本画の作品です。

信州の北端に、神話の昔「天の岩戸」が飛来した姿の
戸隠山」があります。
戸隠山の麓の戸隠神社は「天の岩戸開き」に功績のあった
神々をお祀りしているそうです。
戸隠山を中心に連なる「戸隠連峰」は凝灰質集塊岩が作る
鋭い絶壁となっています。

風のない早朝には、周囲の樹々とこの連峰を鏡のように映す
「鏡池」に行ったのは、黄葉の晩秋です。
前夜からの冷え込みで戸隠連峰はうっすらと雪を被って、
燃え上がる黄葉の後方に荒々しく聳えていました。
冬の訪れを告げる冷たい風が、水面に漣を立てていて、
「鏡」のみなもを観ることはできませんでしたが、
紅、黄、緑に、山の灰紫と白、空の青が色彩のハーモニーを
奏でていて、息をのむ美しさでした。
厳しい季節を迎える前の自然界の色の燃え上がる様子は、
ことばにも、そして絵にも表現できない力強さを感じます。

 

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